本州の花粉症とは少し違います。
★花粉飛散時期(道央)
スギ花粉はハンノキ花粉と同じ時期に少し飛散しますが、量が少ないためこれで症状がでる患者さんは経験していません。
★花粉症の種類
1)ハンノキ
北海道の雪解けの3月中旬、真っ先に花粉を飛散させる樹木です。白樺と同じカバノキ科の木であるため、花粉のタンパクが白樺とよく似ています。このため白樺花粉症をもっている患者さんはこのハンノキの花粉でもアレルギー症状を起こします。
2)白樺(シラカンバ)
ブナ目、かばのき科、カバノキ属の樹木です。白い樹皮が特徴的な樹木です。本来の正式名は大和言葉のシラカンバなのですが、一般には「白樺」という記載のほうが多く使われています。1980年代に急激に増加し、現在、札幌などの都市部での花粉症の代表的な原因になっています。花粉は4月下旬から6月上旬まで飛散します。ゴールデンウィークの頃が飛散のピークです。北海道の1年を通じて最も多く飛散する花粉ですが、その量は年によって大きく変化します。過去の例では1995年、2004年、2008年に大量飛散を記録しています。
3)イネ科牧草
白樺花粉症の増加以前にはこのイネ科花粉症が北海道の代表的花粉症でした。もともとヨーロッパ原産のこれら植物は明治時代の北海道の開拓期に導入されたのですが、その後急速に広がり、現在では牧草地だけでなく道端にごく普通に繁茂するようになっています。カモガヤ(オーチャードグラス)、オオアワガエリ(チモシー)、ナガハグサ(ケンタッキーブルーグラス)などが代表的なものです。5月下旬から7月中旬くらいまで飛散しますが、飛散のピークは札幌では6月中旬頃です。昔は花粉症とわからず、札幌では「夏風邪」として扱われてきました。
4)オオバコ、ヘラオオバコ
5月下旬から8月まで、他の花粉に比べ長い間飛び続けるのが特徴です。
5)ヨモギ
キク科の植物でお盆明けの8月中旬から花粉は飛び始め、9月の下旬くらいまで続きます。飛散のピークは9月の上旬です。本来キク科の植物は黄色い花をつける虫媒花の植物であまり遠くまで花粉は飛散させないなのですが、ヨモギは虫のいない乾燥した地域に適合して進化し、風媒花として延命したものとされています。
北海道の花粉症はスギが主体の本州の花粉症とは大きく異なりますが、詳細にみると北海道の中でも地域によって多少の差があります。函館などの道南地方では多くはありませんがスギ花粉症が存在し、また秋のブタクサ花粉症もあり、本州の花粉症と似通った様相を示しています。釧路などの道東地方ではイネ科牧草が主体なのですが、その飛散時期は7月が中心であり、札幌などより1ヶ月ほど遅れます。一般には白樺花粉症が札幌など道央地方では非常に多いに対して、札幌以外のところでは現在もイネ科牧草、ヨモギの割合が多く少し異なっています。札幌の中心では街がアスファルトで広く覆われるようになり、イネ科牧草、ヨモギが生育するための土の露出している面積が少なくなっているためと考えられています。
検査はその日のうちに診断可能な皮膚テストを主体に行っています。