石狩湾耳鼻科 | |
鼻づまり |
鼻閉(びへい;はなづまり)について 鼻の中はがらんどうの空間ではありません。真ん中に鼻中隔(びちゅうかく)という左右の鼻腔(びくう)を分けている壁があり、側方からは下鼻甲介(かびこうかい)という突起物が張り出しています。空気はこの鼻中隔と下鼻甲介の間を通ります。下鼻甲介は非常に血流の豊富な組織です。この血流豊富な下鼻甲介によって通り過ぎる空気は暖められ、湿度を与えられるわけです。 頑固な鼻づまりはアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎(ちくのう)などで鼻汁が充満したり、下鼻甲介の粘膜が肥厚したりで起こります。また鼻中隔が左右どちらかに強く弯曲している場合にも起こります。 アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎による鼻閉の場合はそれらの病気の治療を行うことが大事です。市販されている血管収縮剤の点鼻液は速効性があり症状をすぐにとってくれるのですが、使用頻度が多くなると、効果が悪くなりますし、かえって薬剤性の肥厚性鼻炎をおこしてしまうこともあり、使いすぎに注意が必要です。 これらの治療で効果が悪い時、あるいは薬をずっと使い続けることに抵抗を感ずる患者さんにはこの肥厚した下鼻甲介の体積を小さくする手術的治療が勧められています。従来は手術室でこの下鼻甲介の粘膜をはさみで切除していたのですが、出血が多いため、最近では局所麻酔下にレーザーなどで焼灼することが主流になっています。焼灼の場合、出血はほとんどないので、入院せずとも外来通院で治療が可能です。焼灼の手段としてはレーザーがよく知られるようになりました。レーザーにもいくつか種類がありますし、レーザー以外にも電気メス、高周波、アルゴンプラズマ、超音波などによる様々な焼灼のための道具があります。多少の効果の違いはありますが、おおむねどの器具を使ってもよい効果が得られています。長年鼻閉に苦しんでおられる方は一度耳鼻科を受診し、相談されるとよいと思います。 強い鼻中隔弯曲症がある時も鼻閉を起こします。この場合、凸側の鼻腔は当然狭くなりますが、凹側の側も多くは下鼻甲介が正中側に過剰に張り出していることが多く、両側の鼻閉を訴えることが多いのが実状です。ヒトでは誰もが少しは鼻中隔が弯曲しています。この弯曲が高度の場合は下鼻甲介の処理だけでは鼻閉の改善が難しく、通常、全身麻酔での鼻中隔弯曲矯正手術も必要になります。 ちなみに鼻中隔の弯曲はヒトのみにあり、四つ足動物の犬、猫などにはありません。立位歩行になったことで、脳の重さが直接鼻中隔にかかり、成長につれて発達する中隔を左右どちらかに曲げてしまうと考えられています。しかし鼻中隔の曲がりの大きい人がそれ故に脳味噌が重く賢い人かどうかについては残念ながら調べられたことはありません。 |
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