石狩湾耳鼻科 | |
アレルギー性鼻炎- ダニ |
ハウスダスト、ダニによるアレルギー性鼻炎 ダニといってもたくさんの種類がありますが、専門的にはコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニと呼ばれる1mm以下の非常に小さな生物で、人間の目ではほとんど見えません。山に入ったあとにかぶりつかれて血を吸われるあの大きなダニとは少し種類が異なります。 ハウスダスト、ダニによるアレルギー性鼻炎は症状が一年中とされていますが、しかし季節による症状の波があります。本州などでは梅雨の時期に、ダニが多くなり患者さんの症状も悪化するようですが、北海道では8月頃から症状のひどくなる患者さんが多く認められます。それはダニが高温多湿の環境が大好きだからです。ぬくぬくしてちょっと湿っぽいところが居心地がいいのは人間と同じなのです。人間にとって快適な住環境はダニにとっても快適なのです。ですから、アレルギーがあるからといってダニを徹底的に退治しようとする試みは大変です。お母さんが一所懸命布団に掃除機をかけても根絶は難しいのです。ほどほどにしないと疲れきってしまいます。 特に、子供のアレルギー性鼻炎では花粉症は少なく、ハウスダスト、ダニが原因であることがほとんどです。症状はアレルギー性鼻炎に一般的なくしゃみ、みずっぱな、はなづまりですが、子供では鼻出血を訴えることがよくあります。これはアレルギー性鼻炎により鼻のかゆみが起こり、睡眠中などに無意識のうちに鼻の中を引っかき、粘膜を傷つけてしまうためです。鼻血をよく出す子供の場合は一度耳鼻科でアレルギー性鼻炎でないかどうか調べてもらうことをお勧めいたします。 アレルギー性鼻炎の患者さんの統計を長らく調べております。15年ほど前の統計では、ダニのアレルギー患者さんは圧倒的に15歳以下の子供ばかりでしたが、最近の統計では、青壮年のダニアレルギー患者さんも多くなってきており、その様相が変化してきております。 アレルギー性鼻炎が現在これほどまで増加した原因ですが、近年注目されている考えはハイジーン・セオリー(hygiene theory)と呼ばれている仮説です。わかりやすく言うと、生活環境があまりに清潔になりすぎてしまったため、細菌に対して働く免疫機構が弱まり、もう一つの機構であるアレルギー抗体を産生する免疫機構が強くなってしまったというのです。このような体の免疫のシステムは乳児、幼児の頃の環境によって影響を受け完成し、以後一生そのシステムが続くというのです。大人のダニアレルギー患者さんの割合が増えてきた背景には、日本が高度成長期を経て、住環境が改善されてきた頃に乳幼児期を育った世代が青壮年にさしかかったためと解釈できるのです。 つい先ごろ、このあたりを研究している先生の講演会がありました。アレルギーを抑えるためにはどうしたらいいのか、そのひとつの答えは子供がまだ小さな時にネコの糞を家中にばら撒いて、汚い環境にしておけばよいという突飛なものでした。この方法はもちろん極端な考えを述べたものですが、考えさせられてしまいます。確かに、汚くして細菌が家中に充満していれば将来アレルギーにはならないのかもしれませんが、逆に感染症の危険が当然増します。 何事もほどほどに・・・。先人が言葉に残した「過ぎたるはなお及ばざるが如し」でしょうか。 |
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