石狩湾耳鼻科
良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症 

Q:寝返りをした時や急に上を向いたときに短時間のめまいがします。頭の写真をとってもらいましたが異常はないと言われました。

A:耳が原因のめまいと言えばメニエール病がよく知られていますが、「良性発作性頭位めまい症」は耳が原因のめまいの中で最も多いものとされています。急に頭を動かした時のぐるぐる回るめまいが特徴で、めまいは通常1分以内でおさまります。内耳の中の平衡感覚をつかさどる三半規管の中に迷入した浮遊耳石と呼ばれるものが、リンパ液の流れをさえぎることなどにより起こります。良性発作性頭位めまい症は、正確には三半規管のうちの後半規管に病変が起きるものと水平半規管に病変がおきる、吐き気の強いものに大きく分けられます。三半規管はお互いに垂直になっている、前半規管、水平半規管、後半規管から構成されています。どの半規管に耳石が迷入してもよいはずなのですが、解剖学的位置から前半規管にははいりずらくなっています。ご質問の内容からは後半規管に耳石が迷入したタイプの可能性が高いと思われます。耳石が三半規管から出た段階で症状は起こらなくなります。

Q:どんな検査や治療を行うのでしょうか。

 めまいの検査にはいろいろなものがありますが、この病気では患者さんの異常な眼球運動(眼振;がんしん)を捉える検査が重要です。一般にはフレンツェルという特殊なメガネを使いますが、最近は赤外線CCDカメラというものを用いてモニター画面に目の動きを映し出し、より精度の高い検査ができるようになってきました。後半規管に耳石が迷入したタイプでは、座った姿勢と頭を低くして臥せた姿勢とで頭の位置を変化させたとき、めまいの出現と一致してくるくる回る特徴的な眼振が認められます。頭の位置を右下にしたり、左下にしたりして現れる眼振の回転方向を捉えることにより耳鼻科医は左右どちらの後半規管が悪いかを判断します。

 悪いほうが左右どちらかが分かったら、浮遊耳石置換法という半規管から耳石を追い出すような理学療法を行います。開発者の名前からとったエプリー法とよばれる方法がよく行われています。患者さんによっては外来で1回この治療法を行うだけで治ってしまう場合もあります。症状が長く続いている場合は一度耳鼻科を受診することをお勧めいたします。

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