石狩湾耳鼻科
耳のつまりと低音障害型感音難聴

 耳のつまり、耳閉感を起こす病気はたくさんあります。耳垢(みみあか)がつまっても起こしますし、中耳炎でも、もっと奧の内耳の障害でも耳のつまった感じが起こります。中でも、この頃、毎日の診療の中でよく遭遇するのは、専門的には「低音障害型感音難聴」と呼ばれている病気です。
 患者さんは「耳がふさがった感じ」「水が入ったような感じ」などと訴えます。この耳閉感とは別に「自分の声が耳に響く」と訴えることもあります。聴力検査を行うと、「ぼーん」という低い周波数の音が聞こえにくくなっています。日常会話でよく使われる中音域の周波数は正常であるため、患者さんはあまり難聴は自覚していません。頭を振ったときに軽いふらふら感が生ずることもあり、実際、平衡機能の検査で眼振(目の異常な動き)の有無を調べると、軽度の障害を多くに認めます。メニエール病のような激しい回転性めまい(ぐるぐるまわるめまい)はないのですが、病気の原因としては似たものがあると推察されています。若い女の子に多い病気ですが、もちろん男の人にも壮年、老年の人にも認められます。

 患者さんはまじめな性格の人が多いのも特徴です。この病気の原因はまだ明らかではありませんが、忙しさ、睡眠不足などのストレスによる内耳の血流障害などが想定されています。少しがんばり過ぎてしまう人がなりやすいようです。内服の薬を処方しますが、大事なことは日常生活の中であまり無理をしてがんばり過ぎないことです。患者さんの多くは数日程度で治癒しますが、ストレスなどでまた再発することも稀ではありません。自然治癒も多く、病院には受診しない患者さんもたくさんいるのではないかと想像しております。

 かくいう私も実は若い頃に、右耳の耳閉感と、自分の声が耳に響く症状が現れはじめ、現在も時々起こります。右耳に自分の声が響き始めると、しゃべるのが少し苦痛になりますが、「まあそのうちなおるだろう」と観念しております。大学卒業の時、友人の「誰も行かない耳鼻科はやめたら?」という忠告を無視して耳鼻科を選んだのも、この耳の症状があったのが一因だったと思っています。

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